Naoko Aoki

青木菜穂子

青木菜穂子

Tierra querida | ティエラ ケリーダ

ピアニスト青木菜穂子は、クラシックやジャズのほか独特の嗅覚で様々な音楽を吸収し、その最前衛でタンゴミュージックと出会いました。それは日本における本格的なピアソラブームを迎える、まさに前夜。東京での小松亮太をはじめとする同世代の演奏家との共演や自己のグループ結成後、盛岡を中心に様々な「場」で毎晩のように演奏活動を続けました。過剰ともいえるピアソラブームの外縁で、日本におけるタンゴ受容の隅々までを体感したことになります。そして2年間におよぶアルゼンチンでの活動は、ブエノスアイレス市が持つタンゴ・バンド「エスクエラ・デ・タンゴ」への大抜擢により実現し、またそれは勿論日本人初の快挙でした。最高峰のミュージシャンに師事し、共演をかさね、信頼を得ていくなかで、当CDは昨2004年冬(現地では夏)録音された彼女のファーストアルバム。ブエノスアイレスの香り漂う現地録音で、アレンジ/選曲にも垣間見える「端正」さや「繊細」さはこのピアニスト生来のものです。

2002年から約2年間にわたってブエノスアイレスでオルケスタ・エスクエラ・デ・タンゴのピアニストとして活動してきた青木菜穂子が、昨年12月の帰国を前に録音を実現した素晴しい内容のアルバム。深く力強いタッチのピアノが響きの中核を担った四重奏編成での1.2.4.8は、彼女による編曲の完成度が極めて高く、超一流のメンバー達が本気を出して楽しんで演奏している様が伝わってくるようなダイナミックな奔放さに圧倒される快演だ。選曲の着眼も特筆もの。本盤のもう一方の柱であるピアノ・ソロでの4曲は、自身の編曲によるホアキン・モラ作のロマン派タンゴ3.9.と、彼女のピアノの師匠ニコラス・レデスマの編曲による5.7.からなるが、和声の移ろいが蠱惑的な3.9.の繊細な感情の起伏の美しさとレデスマ作7.のタンゴ的な重量感に溢れた推進力が対照的な味わいである。6.を歌うSaiah は日本ではSayaca として活動していた歌手。
(鈴木一哉、「Latina」2005.6号)

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